付郵便送達の現地調査はどこまで?郵便受けとオートロックの線引き

付郵便送達・公示送達の現地調査で、当社が郵便受け(ポスト)で確かめるのは、郵便受けの外から視認できる状態までです。中の物には手を触れません。写真は、郵便物の宛名や差出人が写り込まないよう、撮影の角度を考えて撮り、調査報告書に載せています。

オートロックで中に入れない物件では、管理会社・管理人・お住まいの方への聴取が中心になります。また、状況に応じて、管理会社の了承を得る場合もあります。

確かめられなかった項目は、その理由とともに調査報告書に書きます。東京地方裁判所の記載例にも、「調査できなかった事項及びその理由」という欄があります。

付郵便送達の調査をどこまで行えば足りるかは、提出先の裁判所の判断によります。東京地方裁判所は、案内と記載例を公開しています。ここでは、当社が現地で確かめる範囲をお伝えします。

この記事で分かること

  • 現地調査の位置づけ(裁判所・先生・調査会社の関係)
  • 郵便受けとオートロックで、当社が引いている線
  • 確かめられなかったときの調査報告書の書き方と、調査嘱託
目次

付郵便送達の現地調査は、裁判所から探偵への命令ではありません

集合住宅へ向かう調査員の後ろ姿

付郵便送達ができる場合の要件は、こちらの記事に書いています。付郵便送達の要件と、上申するときの注意点を読む

現地調査の位置づけ
1 裁判所が、原告側に住所等の調査結果を求める
2 原告・代理人の先生が、当社に現地調査をご依頼になる
3 当社が現地を確かめ、調査報告書にまとめる
4 先生が、調査報告書を裁判所に提出する

民事訴訟法107条・110条の主語は「裁判所書記官」

付郵便送達と公示送達を定めた条文は、どちらも裁判所書記官の権限として書かれています。

条文主語中身(要旨)
民事訴訟法107条1項裁判所書記官106条の方法で送達できない場合に、書類を書留郵便等に付して発送することができる
民事訴訟法110条1項裁判所書記官住所等が知れない場合などに、申立てにより公示送達をすることができる
民事訴訟法110条2項裁判所必要と認めるときは、申立てがなくても、裁判所書記官に公示送達を命ずることができる

110条2項の「命ずる」は、裁判所から裁判所書記官への命令です。この2つの条文に、探偵業者に調査を命じる定めはありません。

裁判所から調査を求められた先生のご依頼で、当社が現地を確かめます

実務では、送達ができなかったあと、裁判所が原告側に住所等の調査結果を求めます。東京地方裁判所は、送達ができなかったときに行う住所等の調査と、提出する上申書兼調査報告書の書式・記載例を公開しています。記載例では、報告者は原告になっています。

当社は、その先生のご依頼を受けて現地を確かめ、調査報告書にまとめる立場です。

探偵業法6条は、探偵業務だからといって、ほかの法令で禁じられていることができるようになるわけではない、と定めています。裁判所に出す資料のための調査でも、確かめ方には線があります。

出典:民事訴訟法の条文を見る(e-Gov)/東京地方裁判所「民事訴訟手続の住所等調査の御案内」を見る/探偵業法の条文を見る(e-Gov)

付郵便送達の現地調査は、どこまで確かめる?
主な項目(表札・郵便受け・メーター)

項目確かめること
表札表示があるか、どう表示されているか
郵便受け(ポスト)郵便受けの外から見える状態
電気・ガス・水道のメーター使われている様子があるか
生活の様子洗濯物・カーテン・明かりなど
聴取管理会社・管理人・近隣の方のお話
写真建物の外観など、確かめたことの記録

どの項目も、現地での確認と、聴取でできています。建物のつくりによっては、確かめられない項目も出てきます。

電気・ガス・水道のメーターは、確かめられたことと、確かめられなかったことを分けて、調査報告書に書きます。

郵便受け(ポスト)はどこまで確かめるか、当社の線引き

集合ポスト(外から見たところ)

調査報告書に書くのは、郵便受けの外から見えた状態

郵便受けについて、当社が調査報告書に書くのは、主に次のことです。

  • 集合ポストであれば、その位置
  • 郵便物がはさまっているか
  • チラシがはさまっているか
  • たまっているものがあるか

郵便受けだけで居住の有無を決めることはしません。前述のメーター類などを視認したことと、聴取をあわせて、居住の有無を調べています。

中の物に手を触れず、宛名や差出人を写さない理由

理由は、郵便物に個人情報があるからです。探偵業法10条は、業務で知った人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないと定めています。当社は、宛名や差出人もその対象になりうるものとして、慎重に扱っています。

郵便物の写真は、「どうやって写したのか」という点にも関わります。そのため当社は、郵便物を写すことを極力おさえています。

郵便受けの中の物には、刑法の3つの条文が関わりえます。

条文中身(要旨)
刑法235条(窃盗)他人の財物を窃取すること
刑法133条(信書開封)正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けること
刑法263条(信書隠匿)他人の信書を隠匿すること

どの条文に当たるかは、個々の事情で判断されます。当社が法律の判断をお示しするものではありません。

当社がすること

・集合ポストの位置を調査報告書に書く
・郵便受けの外から視認した状態を調査報告書に書く
・写真は、郵便物の宛名や差出人が写り込まないよう、撮影の角度を考えて撮る

当社がしないこと

・中の物に手を触れる
・中の物を取り出す

出典:刑法の条文を見る(e-Gov)/探偵業法の条文を見る(e-Gov)

集合ポストから書面を取り出して撮影した行為と、京都地裁の判決

判決と条文を確かめる机の上

京都地方裁判所 令和7年3月11日判決の要点

集合ポストから書面を取り出し、撮影して戻した行為について、窃盗罪の成立を認めた判決があります。京都地方裁判所の令和7年3月11日の判決です(事件名は窃盗、邸宅侵入被告事件)。

判例の解説によると、理由の骨子は3点です。

  • ポストの構造:投函された物を、住んでいる方以外が取り出すことは予定されていない
  • 書かれた情報の価値:氏名や部屋番号などが書かれた書面は、ほかに共有されないことに価値があり、撮影して取得すれば、その排他的な利用が妨げられる
  • 取り出した時点:1枚の紙片なので、ポストから取り出せば、最終的に書面を取得する蓋然性が飛躍的に増大する。そのため、取り出した時点で自己の支配下に置いたといえる

ただし、断りが3つあります。

  • この解説は、不法領得の意思と既遂の認定について、判決に批判的な立場で書かれています
  • 事件名には邸宅侵入もありますが、その点の判断は解説では扱われておらず、当社では分かりません
  • 控訴されたか、確定したかは、当社では確認できていません(2026年9月30日時点)

当社は、判決のあるなしにかかわらず手を触れません

当社が郵便受けの中の物に触れないのは、判決が出たからではありません。郵便物に個人情報があるからです。

調査報告書は、裁判所に出される資料です。見たままを書く、というのが当社の考え方です。

出典:TKCローライブラリー 新・判例解説Watch 刑法No.225 を読む

オートロックの物件を含む付郵便送達・公示送達の現地調査は、北海道総合調査にご依頼いただけます

当社の調査員が、現地での確認と、管理会社やお住まいの方への聴取で状況を確かめ、元裁判所書記官と弁護士が監修した書式の調査報告書にまとめます。お見積りは無料です。

オートロックで入れないときの調査は、聴取が中心になります

オートロックの玄関(ガラスの扉とインターホン)

管理会社・管理人・お住まいの方への聴取で確かめます

札幌では近年、オートロックの物件が多くなっています。

中に入れない以上、確かめる相手は人になります。管理会社・管理人・お住まいの方に聴取します。状況に応じて、管理会社の了承を得る場合もあります。

ご依頼の際、先生にも同じようにご説明しています。

東京地方裁判所が公開している付郵便送達の記載例にも、「管理会社・管理人からの聴取について」と「受送達者、その家族、近隣住民等からの聴取について」の欄があります。

出典:付郵便送達の記載例を見る(東京地方裁判所・PDF)

聴取の力が、結果を左右します

オートロックの物件では、確かめる方法がほぼ聴取になります。聴取だけで居住の有無を明らかにするのは簡単ではないため、当社は、聴取を調査の中心に置いています。

納品の前に、当社が立証するに足りないと判断したときは、もう一度現地へ行きます

1回の現地調査で終わる件がほとんどです。ただ、居住の有無を確かめるための事実が足りないと当社が判断したときは、納品の前にもう一度現地へ行きます。

もう一度伺うのは、アパートやマンションで、聴取先がご不在だったときが多くなります。聴取できた件数が少なく、居住の有無を明らかにするには足りないと当社が判断したときは、何度か足を運びます。

納品の前に当社の判断でもう一度現地へ行くときは、追加の調査料金・交通費はいただいておりません。

オートロックの物件で調査が難しくなる理由は、こちらで詳しくお伝えしています。オートロック物件の現地調査が難しい理由を読む

確かめられなかったことは、理由とともに報告書に書きます

東京地方裁判所の記載例にある「調査できなかった事項及びその理由」

東京地方裁判所が公開している記載例では、現地調査の欄の中に、次の2つがあります。

東京地方裁判所の記載例にある欄(現地調査の一部)
・調査できた事項及び調査結果
・調査できなかった事項及びその理由
東京地方裁判所の記載例をもとに、当社が欄の名前を抜き出したものです。

「調査できなかった事項及びその理由」の欄には、たとえば、こう書かれています。

  • 表札:「集合玄関がオートロックで出入りできず、表札が確認できなかった」(付郵便送達の記載例)
  • 郵便受け:「郵便受けは施錠等されており、郵便物等の有無は確認できなかった」(公示送達の記載例)

当社の調査報告書も、同じ考え方で作っています。

なお、これは東京地方裁判所の記載例です。調査報告書の書式は、決まった一つの形があるわけではありません。裁判所によって書式や運用が違うことがありますので、提出先の裁判所の指示をご確認ください。

出典:付郵便送達の記載例を見る(東京地方裁判所・PDF)/公示送達の記載例を見る(東京地方裁判所・PDF)

当社の調査報告書は、当社の名前で出し、押印しています

調査報告書は、先生のお名前ではなく、調査をお受けした当社の名前でお出しし、押印しています。作るのは、現地で調査した調査員です。書式は、元裁判所書記官と弁護士が監修したものを使っています。

当社の調査報告書に載せる項目は、こちらにまとめています。調査報告書の書式と記載項目を確かめる

管理会社から答えを得られないときも、ほかの確かめ方を重ねます

お尋ねすれば答えていただけることが多いのですが、個人情報を理由に答えられない、という会社もあります。

管理会社から答えを得られないこともあります。その場合は、相手の方がお話しになったことをそのまま報告書に書いたうえで、ほかの確かめ方を重ねて、居住の有無を調べます。確かめ方は、現地での確認と聴取の範囲です。具体的な進め方は、ここでは控えます。

「裁判所からの照会があれば答えます」と言われたら、そのままお伝えします

「裁判所からの照会があれば答えます」というお答えをいただいたときは、その言葉をそのまま調査報告書に書きます。先生には、調査嘱託という手続があることもあわせてお伝えしています。

調査嘱託は、裁判所が必要な調査を団体などに嘱託できる、という手続です(民事訴訟法186条1項)。東京地方裁判所の案内には、建物管理会社などへの調査嘱託の申出の書式は担当部に相談するように、という趣旨の記載があります。

申出をするかどうかは先生のご判断、採用するかどうかは裁判所のご判断です。当社が手続をするものではありません。

出典:民事訴訟法の条文を見る(e-Gov)/東京地方裁判所「民事訴訟手続の住所等調査の御案内」を見る

調査嘱託は、回答が届くまでに日数がかかることがあります。付郵便送達・公示送達の現地調査は、時間に余裕を持ったご依頼をおすすめします。

冬の北海道でも、夏と同じ項目を確かめます

冬の北海道の住宅街

雪の季節も、夏と同じ項目を確かめています。日を改めるかどうかは、現地の状況によります。

入口が雪で見えない日でも、1日たてば確かめられることが多いです。雪の上の足跡から出入りの様子が分かることもあります。

一方で、冬は積雪のためにメーター類の確認が難しくなりがちです。夏でも、メーターが見にくい場所にある建物はあります。

確かめられなかった項目の扱いは、冬も変わりません。

よくある質問

付郵便送達の現地調査は、裁判所の命令で行うものですか?

いいえ。民事訴訟法107条・110条の主語は裁判所書記官です。この2つの条文に、探偵業者に調査を命じる定めはありません。裁判所から調査を求められた先生のご依頼で、当社が現地を確かめます。

付郵便送達の現地調査では、郵便受けをどこまで確認してもらえますか?

集合ポストの位置と、郵便受けの外から視認した状態を調査報告書に書きます。郵便受けの中の物には手を触れません。写真は、郵便物の宛名や差出人が写り込まないよう、撮影の角度を考えて撮っています。

オートロックで中に入れない物件でも、付郵便送達の現地調査を依頼できますか?

承っています。オートロックで中に入れない物件では、管理会社・管理人・お住まいの方への聴取が中心になります。また、状況に応じて、管理会社の了承を得る場合もあります。確かめられなかった事項は、理由とともに調査報告書に書きます。居住の有無が明らかになることをお約束するものではありません。

管理会社が回答しなかったときは、どうなりますか?

相手の方がお話しになったことをそのまま調査報告書に書き、ほかの確かめ方を重ねます。「裁判所からの照会があれば答えます」というお答えのときは、その言葉をそのまま調査報告書に書きます。先生には、調査嘱託という手続があることもあわせてお伝えしています。申出をするかどうかは先生のご判断、採用するかどうかは裁判所のご判断です。

冬でも現地調査はできますか?

雪の季節も、夏と同じ項目を確かめています。積雪でメーター類などが確かめられないときは、その事実を写真とともに調査報告書に書いてお伝えします。

1回の現地調査で、居住の有無を確かめるための事実が足りなかったときは、どうなりますか?

居住の有無を確かめるための事実が足りないと当社が判断したときは、納品の前にもう一度現地へ行きます。もう一度伺うのは、アパートやマンションで、聴取先がご不在だったときが多くなります。聴取できた件数が少なく、居住の有無を明らかにするには足りないと当社が判断したときは、何度か足を運びます。納品の前に当社の判断でもう一度現地へ行くときは、追加の調査料金・交通費はいただいておりません。

まとめと、ご依頼の流れ

  • 郵便受けは、郵便受けの外から視認できる状態まで。中の物には手を触れず、写真は宛名や差出人が写り込まない角度で撮る
  • オートロックで中に入れない物件は、聴取が中心。状況に応じて、管理会社の了承を得る場合もある
  • 確かめられなかったことは、理由とともに調査報告書に書く
  • 調査嘱託は日数がかかることがあるので、ご依頼は時間に余裕を持って

現地調査は、慣れていないと迷う場面が多い調査です。郵便受けをどこまで確かめるか。オートロックで入れないとき、どなたに何を尋ねるか。確かめられなかったことを、調査報告書にどう書くか。個人の方や、事務所の方がはじめて行うと、時間も手間もかかりがちです。

ご本人が現地へ行かれると、相手の方と顔を合わせて、言い合いになるおそれもあります。また、聴取のために何度も訪問されることを、嫌がる方は少なくありません。先にどなたかが調査に入ったあとでは、聴取が難しくなることがあります。やり直しがきかない場面もあります。

当社は、付郵便送達・公示送達の現地調査を日頃からお受けしています。難しいと感じられたときは、ご相談ください。

ご依頼は、お見積りフォーム・お申込みフォームからいただくことがほとんどです。はじめてのお客様で、ご不安であれば、お電話でもご相談いただけます。

札幌市内・近郊は、ご契約の成立後、当日から翌日に調査できます。調査の混み具合によって前後します。

先生や事務所の方がご自身で現地へ行かれる場合は、こちらもご覧ください。ご自身で現地調査を行うときの注意点を読む

当社にご依頼いただく場合の調査の中身は、調査の概要のページに載せています。付郵便送達・公示送達の現地調査の内容と流れを確かめる

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